Art Site Horikawa-II

徒然なる思いも含め書く事を積み上げ、アートの発想、構想力を鍛える。

如月-205

その1

 

Hさんから質問が来ました。

 

Hさんへの回答

〈石〉=石を送るメール・アート

 

兵庫県立近代美術館の環境としてのイメージ」展(企画担当は中島徳博)の出品依頼の電話をくれたのは柏崎出身の学芸員山崎均さんでした。

山崎さんは1972年に友人の関根哲男さんに送った〈石を送るメール・アート〉を関根さんの奥さんが柏崎高校で美術を教えていた縁で関根さん宅を訪れた際に見る機会があり、記憶に強く残ったと聞きました。山崎さんはその後筑波大学で彫刻を学ばれて兵庫県立近代美術館の学芸員に入られたわけです。

 

私は、1969年7月のアポロ計画に連動して〈石〉を考案して実践を始めて、アポロ計画が17号で終了した時点でその根拠が失われたと近視眼的に考えました。そう考えながらもその後、雑誌に作品図版で取り上げられ、また評論に取り上げられたりすることもあり、どう考えれば自立的な表現として再生、再開できるか考え続けていたことは事実です。

自分の作品からまた同じコンセプトの作品が生まれることは道理に外れるものではない。送りたくても送ることができなかった人もいました。

 

石を拾い、それを針金で結えて、荷札に宛名を書いて、荷札を石につけて、郵便局へ持ち込んで、発送手続きをする。という孤立無援の制作者側の一連の活動過程には、それなりの内発的動機付けと意味付けの一致が不可欠です。

 

兵庫県立近代美術館の開館15周年企画展の出品依頼(添付)

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このメール・パフォーマンスの出品依頼は私の〈石〉を再評価し、また新しい視点で取り上げてくれたものでした。

同展の主な出品作家は

アンディ・ウォーホルロバート・ラウシェンバーグリキテンシュタイン、ジム・ダイン、フランシス・ベーコン、デビット・ホックニー、クリスト、三尾公三、横尾忠則、三島喜美代、菅井汲、篠田守男福岡道雄浜田知明、木村利三郎、杉山知子ほか

このような出品作家とともに出品する機会は自分の作家展開とっての大きな支援となりました。まさに渡りに船で、大いに喜びました。

 

当時上越教育大学の大学院で研修中であり時間も余裕がありました。後輩のKを同道し

て高田から信濃川へ出かけ、石を拾い、タイトルはShinano River Plan ‘85 として黒と灰色の丸い石を送る。作品生成のShinano Riverのタイトルを冠してメール・アートを再開する。私にとってはそれで必要十分でした。(この作品の現在は不明で写真が2枚残されています。)

 

そして、次の本格的な再開の機会は2000年のTate Modern でのCentury City展の東京セクションに〈石〉が選ばれたことからでした。

 

 

また、世界情勢は一市民として誰もが願う平和な方向に向かってはいません。

〈石〉について考えていくと時間が経つほどに最初の石=(地球の石)に込めた文明批評的意味が浮かび上がってきます。最近は自分の〈石〉作品は世紀的時間、宇宙的時間で考察すべきものではないかと考えるようになりました。

それから、作品制作についての考え方や、制作を継続するかしないかは作家の自由に属します。説明は難しいですが私は「デュシャンの病」としているのですが、自分の作品の成功例を繰り返さないという在り方を自分に課して、納得のいく次なる作品を作ることができずに苦しんだことも多々ありました。

 

80年代はいわゆる現代美術は停滞しさまざまな試みが出てきていました。私の80年代は〈石〉の次の展開のSnow Performance Seriesを見出して取り組んでいたのですが、兵庫からの話で自分の開拓したオリジナルを復活させレパートリーを拡充することができたと思っています。

 

この時期から、90年代へと新たな立体や平面、レリーフ的表現への試みに入り、また2000年からの大地の芸術祭や前述のCentury City展との関わりも出てきて、現在は〈石〉を含め、多様多彩な作品展開をするようになっています。

 

 

その2

本日(5日)の新潟日報・魚沼に松代の雪アートが取り上げられていました。たまたま初日の鑑賞ツアーでワイフが取材を受けて感想が載っています。珍しいことなので掲載させていただきます。なお、下の写真の杉玉作品は東條麗子さんの作品です。

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その3

月に一回程度10kmくらい離れている歯医者に通っている。20年以上前からのお馴染みの歯医者さんで私にとってライフラインの点検作業と同じです。

今日は20cm以上の新雪の化粧で途中の景色が美しく見え、不思議でした。2月のせいかもしれません。

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今日の雪を俳句にて

 

新雪を 纒いし木々の 美しき

雪降りて 雪輝きて 景色成す

屋根雪よ 50センチを 超えるなよ

圧雪の 上をごとごと 走りゆく

対向車 速度落として すれ違う 

見慣れてる 雪の景色が 心突く

雪嫌い 嫌いと好きは 裏表

朝湿り 昼は粉雪 夕ぼたん

 

本日はこれにて。