Art Site Horikawa-II

徒然なる思いも含め書く事を積み上げ、アートの発想、構想力を鍛える。

応挙の雪松図より

美術の世界で生きて来て、これまで没骨技法という言葉を知らなかったわけではないですが、昨日三井美術館で見た円山応挙の「雪松図」の解説により初めて実感的に見えたように感じました。調べてみると、その言葉の分節として「付立て」「片ぼかし」がありました。俵屋宗達は「たらし込み」と合わせて使用したとあり。また地暈(じぐま)というぼかしの技法もありました。
画六法の一つに骨法用筆がありますが、その範疇に没骨技法という新たな技法が加わり、その意味が限りなく拡大発展したということになります。
応挙「雪松図屏風(右隻)部分」

私は、ある時期から「芸能人は歯が命」というコマーシャルフレーズにひらめいて「色彩は濃淡が命」ということで絵画を考えるようにして来ましたが、その際に使用する語彙のレパートリーを増やす事が出来たというわけです。
Webより
没骨法もっこつほう)は、
 東洋画の画法のひとつ。輪郭を描かず、初めから画面に形と色を同時にあらわすという技法。鉤勒法とともに東洋画の二大技法のひとつ。
主に花鳥画で行われ、中国の徐熙(中国語版)、徐崇嗣などの系統を受ける徐氏体の手法とされる。
日本画では俵屋宗達が、たらし込みの手法とともに使用した。

付立て
 幅の広い線(面)を一筆で濃淡をつけて描く描き方を「付け立て(つけたて)」といいます。輪郭線のない没骨法の一種ですが一筆の中に濃淡をつけるのが特色です。

片ぼかし
 色彩の濃淡によって、凸凹や陰影の感じを表す技法、古代から隈取りとして敦煌の壁画などに使われていた。輪郭線の内側をぼかす内隈、外側をぼかす外隈、暗色に明るい色を加えてのかす返り隈(照り隈)などに分類されるている。仏画などに使われる装飾的技法だったが、円山応挙(1733-95)が、写生を素早く行うため、絵具や墨を水を含んだ筆につけ、穂先で形を描きながら、根本でぼかして一気に陰影を描く方法を考案した。丸山四条派がこれを付け立て法と称して多用した。広い面はウエット・イン・ウエットによって、何筆か重ねて描く。横山大観(1868-1958)は、片ぼかしによる独特の水墨様式で《生々流転》などを描き、日本の湿潤で変化に富む空間を表現する近代的な筆触表現として用いた。