Art Site Horikawa-II

徒然なる思いも含め書く事を積み上げ、アートの発想、構想力を鍛える。

tensegrityの展開の節目に

tensegrityについて小出版し、一区切り付けたいと思います。Webで申し込めて、手頃な予算で小冊子を出版する事の出来るので有り難く利用しています。
冊子を造るには、前書きが必要です。論文に要旨を付けるように、前書きを書くことにより一つの客観レベルを確保できると考えています。
tensegrityの施工方法を体得する為に100個くらいのマケットをつくりました。書斎はtensegrityで一杯の感じです。

いま、tensegrityを展開

 1967年末に新潟現代美術家集団GUNの結成に参加。以後、作家としての飛躍を求めて様々な表現に挑戦。その最初は68年の大学卒業の際に新調した背広と同じ型紙を使いキャンバス地で発注縫製した背広のオグジェ。その後、第8回毎日現代美術展では吉村益信の「反物質 ライトオンメビウス」や田中信太郎の「マイナー・アートA.B.C.」など、ステンレスやアクリル、蛍光塗料などの新素材や電動型テクノロジー・アートに強い刺激を受け制作を試みるもノー-ハウや予算が伴わず断念。しばらくして下宿先の屋根板金屋の作業場にあった鏡面ステンレスで等身大のネクタイを制作。続いて量感・塊の無い彫刻をコンセプトにゴム紐による自由自在に変化する空間造形を構想。十日町市展に角材で組んだ直方体にゴム紐を張って蛍光塗料で彩色して出品。
 そのようなプロセスから69年に大阪万博に伴って開催された国際鉄鋼彫刻シンポジウムの参加作家を紹介する某雑誌で見たケネス・スネルソンのステンレスパイプとワイヤーによる立体造形のマケットを手にした写真が印象的だった。その実物を万博会場で目撃したこともあり記憶の深部に刻印されていた。
 以後45年余。昨年の大地の芸術祭で雪をシンボライズする六角形の野外彫刻を構想する過程でケネス・スネルソンの作品が思い浮かび、それがtensegrityの原理によるものであるとWeb検索で理解。tensegrity原理を自学応用し、木材の突っ張り材(ロッド)とゴム紐による引っぱり材によって形を組み立てる施工方法を会得した。
 現在、竹串、丸棒、金属パイプ等で10cm~300cmの様々なサイズのロッドをつくり、tensegrity原理で組み立て、解体が容易で再構築が可能な空間表現を展開している。(5 月24日)